ヘッダー

誉田真大学一年。泳ぐのが好き(阿江)
ここについて

No.96

濵中琴乃
掛川シ集二次創作小説




「あ」
 大声というほどではないが、質量のあるつぶやきが隣から聞こえて、瑠夏は顔を上げた。見れば琴乃がスマホをもって口をあんぐりと開けている。顔の上半分は髪で隠れて見えないからわかりにくいけど、多分、がっかりしている。
「どうしたの」
「充電切れた」
「え~?」
「12%から一気にゼロになっちゃった。なんで?寒いから?」
「いや充電すくな」
「だ~~~~って30分待ちがさ~~意外とあったね~~」
 そう、瑠夏と琴乃は今、30分待ちの列に並んでいる。向かう先に求めるのは、今をときめく麻辣湯。あったかくなるしおいしいし美容にもいい(?)し人気なら行くっきゃないよね!列長い?大丈夫でしょ!と勇んで並び、しゃべったりしゃべらなかったり、スマホをいじったりして時間を潰していた。
 季節は冬。麻辣湯がとっても美味しいであろう気温。この時期にスマホのバッテリーのパフォーマンスがおかしくなるのを、我々は毎年忘れ、毎年、充電が切れて思い出すことになる。
「瑠夏もスマホしまってよ」
「え、私まだ充電あるんだけど」
「だって瑠夏がなんか見てて私暇だったらつまんないじゃん。スマホ禁止。」
「え~なにすんの。道中でだいぶしゃべったけど」
「しりとりとか」
「琴乃『る』攻めするからヤダ」
「うえ~~~ん」
 駄々をこねるのに話題を提供しない琴乃にため息をつく。今日地下鉄で来たけど、スイカ使えないけど、琴乃は大丈夫なのだろうか。
「じゃああれ、こないだのオンセの録画あるからさ。それ聞いてよ」
「え!?ギガ大丈夫!?」
「一時保存してあるから」
「神~」
 周り未通過だからネタバレ気を付けてね、と、琴乃にイヤホンの片方を渡す。ギャグシでみんなずーっとしゃべってたし、自分の声に変に恥ずかしくなることはないだろう。
 充電は45%だし、よっぽどじゃなければ途中で切れないだろう。ぼんやり聞いて笑って、あったかくておいしいものを食べるのだ。

畳む

編集