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誉田真大学一年。泳ぐのが好き(阿江)
ここについて

No.87


いいねしたよその子との存在しない小説の一文を抜粋する

小澤さんへ 脈動



 みがいてつやつやになって、うれしいモノもあるけど、みがいてもつやつやにならなくて、ちょっと違うモノもある。エックスが石を集めるようになって学んだことだ。
「こういう黒いのは、つやつやになる。うれしい。こっちのしろくてごまごまなのは、つやつやにはならない。でも、これもいいもの。」
 コレクションを見せて語るエックスの話を、縫紘はにこにこと聞いていた。
 世界を再生するとき、早い段階でエックスは石を希望した。あの船で見た図鑑の中で、一番素敵なものに映ったそうだ。
「いろいろ模様があっておもしろい。必要か、はわからないけど。こういうものも、世界にはあるとよい。」
 エックスは研磨布で石をくるくると撫でまわす。
 「世界にはあるとよい」というのも、最近になってエックスが言い出したことだ。縫紘が「ほしいものはあるか」と問うと、エックスはそう答える。
 世界にはあるとよい。石も、いろいろな模様も。


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